宇宙や生命について考えたことを書いてみる

宇宙や生命についてのエッセイです。事実に基づき書いているつもりですが、間違い、調査不足だったりすることもあるかと思います。また、筆者の妄想モードの場合は、予めそう書きますのでご了承ください。ゆるい感じで楽しんで頂ければ何よりです。

人工知能について考えてみる(その2)※不定期ネタ

過去に人工知能について書いたものはこちら↓

sohsan.hatenablog.com

sohsan.hatenablog.com


■様ざまな人工知能
昨今、人工知能が旬である。囲碁で「AlphaGo」(DeepMind社開発)がイ・セドル(韓国のトップクラスの棋士)に勝ち越したのも記憶に新しい。将棋では、将棋ソフトで最強と言われている「Ponanza」がある。また、iphoneに搭載されている「Siri」も人工知能であるし、他にも、各国のMicrosoftが開発している、「りんな」や「シャオアイス」、「Tay」(※現在、閉鎖中)もそうである。

◇りんな
公式HP(日本Microsoft)↓

rinna.jp


りんなtwitter

twitter.com
◇シャオアイス
公式HP(中国Microsoft)↓

http://www.msxiaoice.com/


これらはある意味、特定の分野に突出した人工知能であるといえる。当然ながら、AlphaGoに囲碁以外の事はできないし、逆にりんなが囲碁を打つことはできない。りんなやシャオアイスは「会話」に特化した人工知能だと言える。昔開発された「Eliza(イライザ)」を起源としてここまでの発展を遂げてきている。

人工知能は人間を超えたのか
ある特定の領域に閉じたものなら既に人間を超えたと言えるだろう。それでは「人間そのもの」を超えてしまったのだろうか。
いろいろ調べてみると、既にそういった概念の言葉があった。
「特化型AI」と「汎用型AI」
言葉通りで、例えば、AlphaGoは囲碁における特化型AIである。現在は、特化型AIは様々な分野で作られているが、汎用型AIは未だ作られていない状況である。
少し思考実験になるが、特化型AIをどんどん足していけば汎用型AIに近づくのだろうか。いわば、特化型AIの集合知(集合体)である。
これもよく考えてみると、「汎用型AIに近づく」のであって、「汎用型AIになる」わけではない。そこの違いは何なのか。その答えが人間とは何か、生命とは何か、のヒントになると確信している。

人工知能の行く末
人工知能は既に世の中に入ってきていて、この流れは止められないと思う。警告している人達もいる。人工知能を強制的に止める「ボタン」が必要だと主張する人たちもいる。この話は、クローン技術の問題に似ている。クローン技術で人間を複製することに対しての様々な議論がありルールが決められてきた。人工知能も同じ話が出てくると思うし、既に出てきているのかも知れない。クローンの時と異なるのは、クローンを実際に行おうとすると専用の装置や道具が必要だということだ。人工知能はどうだろうか。専用の装置は必要なく、コンピュータ、それも演算能力がとてつもなく大きいコンピュータがあればよい。
どちらにせよ生命の秘密を解くためにこれらの技術を突き詰めていく、ということがあってもよいのかなと最近は考えている。

(時期未定のその3へ続く)

 

地球外文明の数について考えてみる(後編)

【前編はこちら

sohsan.hatenablog.com

前回は、ドレイクの方程式とそれを発明したドレイク博士自身の計算について書いた。

■文明の存続期間は?
パラメータLで表されている文明の存続期間も結果を大きく左右する。ここが一桁変わると、最終的に地球外文明の数(N)も一桁変わる。他のパラメータの値を同じ値とし、ここではドレイク博士自身の計算値を利用してみよう。すると、Lが1000年なら、Nは2万。Lが10,000年なら、Nは20万となる。
星間通信を行うような文明の期間が長ければ長いほど、お互いを見つけやすくなるわけだ。
地球文明の存続期間が長くなればなるほど、地球外文明を見つける可能性は高まる。現在、地球文明の期間は数千年、電磁波を通信に使うようになってからは高々100年程度だ。地球文明は数万年、数十万年規模で続くのだろうか。

■世界終末時計
地球文明の存続について面白いものがあった。世界の終末までの期間を示す時計があるらしい。
1947年にアメリカの科学誌のプロジェクトとして発案され、その科学誌が時計を管理している。この時計の針が夜中の0時を示した時が世界の終末である。

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   写真.世界終末時計
時計の針の位置の決定は科学誌と専門家によって決められる。
今まで長針が最も0時に近づいたのは1953年(水爆実験成功)の11時58分で、逆に最も0時から遠のいたのは1991年の11時43分だったらしい。現在は、残り3分とのこと。戦争や核が時刻に大きな影響を与えるが、地球の温暖化(例えば2015年はこれまでで最も地球の温度が高かった)なども影響を与えるとのこと。
この時計の針が0時に近づかないよう考え行動していこうと思います。
(おわり)

 

地球外文明の数について考えてみる(前編)

■地球外文明はあるのか
この宇宙にどれくらいの数の地球外文明があるのだろうか。これを具体的な式で示したものに、ドレイクの方程式というものがある。

  過去にドレイクの方程式について触れたブログはこちら

sohsan.hatenablog.com

 

ドレイクの方程式は、単純な掛け算で表される。少しパラメータの数が多いだけだ。
様々なパラメータを掛け合わせることで、最終的に、銀河系に存在する通信可能な地球外文明の数(N)が求められる。

 

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     ドレイクの方程式
ここで、
N :我々の銀河系に存在する通信可能な地球外文明の数
R*:我々の銀河系で恒星が形成される速さ(銀河系内で年間当たりに発生する星の数)
fp:惑星系を有する恒星の割合
ne:ひとつの恒星系で生命の存在が可能となる範囲にある惑星の平均数
fl:上記の惑星で生命が実際に発生する割合
fi:発生した生命が知的生命体にまで進化する割合
fc:その知的生命体が星間通信を行う割合
L:星間通信を行うような文明の推定存続期間

■ドレイク博士自身はどう計算しているのか
この式を提案したドレイク博士自身は、どういう値を入れているのか気になっていたところ、コズミックフロント・ネクスト(NHK BS、H28年4月7日放送)の中で、ドレイク博士自らが計算していた。

www.nhk.or.jp

 

博士が入れていた値は以下のようなものだった。

R*:20
fp:0.5
ne:2
fl:1
fi:1
fc:1
L:1000

これらの値を入れると、銀河系内の地球外文明の数(N)20,000が出てくる。
これは、銀河系内の星の数の1000万分の1に該当し、決して大きい値ではないとも言っている。(ドレイク博士は銀河系の恒星の数を2000億と見ていることもここから分かる)
さて、20,000という値をどう見るか。僕自身は、自分自身が想像している値よりかなり多いと感じた。僕らの銀河系(天の川銀河)の中だけで、20,000あるということは、宇宙には他の銀河や銀河団(例えば、アンドロメダ銀河やおとめ座銀河団等)も無数にあるわけで、それぞれの銀河にまた20,000の文明があるのであれば、さらに増える。今のところ銀河の数は分かっていない。
本当に地球外文明の数がこれほど多くあるのなら、いつかは見つかる(もしくは向こうが地球を見つける)と考えてしまいますね。
(つづく)

あかつきとかひとみとか

金星探査衛星「あかつき」の軌道修正が成功したとのことだ。
姿勢制御用エンジンを15秒間噴射した結果、約800日だった観測期間が2000日まで延びた。太陽に当たる期間が長くなることによって日が当たる期間が長くなり、より長い間、太陽電池に電力が蓄積されるためだ。事前のシミュレーションによって綿密に計算された結果、最もベストな案が採用されたと推測します。話が少し変わってしまうが、こういった事前のシミュレーションもAIとか取り入れて、今後はますます発展していく分野なのではないかと感じている。
さて、あかつきの話に戻るが、金星についてはお隣の惑星でありながら、火星のように探査機を着陸させたりしていないので、まだまだ謎が多い惑星だ。金星の表面はスーパーローテーションと呼ばれる秒速100mの超強風が吹いているので、探査機を降ろすのは現在の技術ではかなり困難だ。なので、まずはこの気象現象から解明しようとしている。あかつきによって金星の謎が解明されていくのを期待しています。

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       あかつきによる金星観測計画(引用元:ISAS/JAXA

「あかつき」チームtwitter

「あかつき」チーム (@Akatsuki_JAXA) | Twitter


あかつき特設サイト(JAXA)↓

www.isas.jaxa.jp

 


また、X線天文衛星「ひとみ」の悲しいニュースもありました。
こちらは、何らかのトラブルに巻き込まれて通信が途絶えているそうだ。姿勢制御が何らかのトラブルでうまくいかず、衛星自身が高速回転をしているようだ。ただ、回転は時間と共に収束してくるため、まだ復旧の可能性があるとのこと。気長に待っていたいと思います。カムバック!ひとみ!

ひとみ特設サイト(ファン!ファン!JAXA)↓

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H) 特設サイト | ファン!ファン!JAXA!

 

<閑話休題>最近はまっている番組「ドクターG」

総合診療医「ドクターG」に最近はまっている。どんな番組かというと、実際にあった診療に基づき、それを再現しながら医者の研修医の方達が病名を診断していく、という番組だ。
何が面白いかというと、ミステリーの謎解きさながら、事実を積み上げながら、最終的な犯人を突き止めるように、患者の訴え、診療内容を積み上げながら、最終的に病名を突き止める、というところが面白い。さらに、病気についての知識もつくので一石二鳥だ。TVを最近あまり見ないが、こういう番組のように、楽しみながら知識が増える番組が増えていくとよいなと感じている。

ドクターGのサイトはこちら↓

www4.nhk.or.jp

 

重力波観測時にガンマ線バーストも観測されていたことが判明!

ガンマ線バースト重力波観測されたのとほぼ同時に観測されていたというニュースがあった。
観測したのは、フェルミ天文衛星。

ニュース記事はこちら↓

www9.nhk.or.jp

 

日本フェルミ衛星グループ(広島大学)のニュースはこちら↓

http://www-heaf.hepl.hiroshima-u.ac.jp/glast/160212/160213.html

 

フェルミ望遠鏡のサイト(NASA)はこちら↓

fermi.gsfc.nasa.gov


ガンマ線バーストフェルミについて色々書きたいところだが、今回言いたいことのポイントではないので割愛します。またの機会にでも。

今回の重力波の波形の解析から、重力波発生原因は、2つのブラックホールの合体だと言われている。そのブラックホール合体事象は13億年前に起きたということだ。
太陽の質量の29倍と36倍の2つのブラックホールが合体して大きな1つの62倍のブラックホールになった。差分の太陽質量の3倍分が、重力波ガンマ線含む電磁波等になって放出された。
驚くべきことは、観測波形の分析からこれらのことが分かるということだ。今回のLIGOでは観測施設は2ヶ所(ワシントン州ルイジアナ州)にあり、それらの比較により様々なことが分かるということだ。

さて、記事によると、ガンマ線バーストが届いたのは、重力波観測時刻から約0.4秒後だという。
この「0.4秒」にはどんな意味があるのだろう。
ガンマ線の方が遅く届いた理由として考えられることを思いつくままに上げてみる。

1.重力波が射出された0.4秒後にガンマ線バーストが射出された

まずは普通に考えればこれでしょう。しかし本当にこれだけだろうか。もう少し考えてみる。

2.ガンマ線は何らかの障害物に妨害された(重力波は妨害されなかった)
3.ガンマ線は遠回りしてきた
4.そもそもガンマ線の速度より、重力波の速度が速い

ここまで考えてふと気づくことに、そもそも0.4秒という差は絶対的な数値なのだろうかということである。
つまり、一歩踏み込んでさらに考えてみるとこんなことも考えられないか。

5.ガンマ線重力波によって歪められた時空の中を進んできた
6.フェルミ天文衛星やその他のガンマ線観測施設の時空の歪みの影響

0.4秒の遅れの原因は1つでなく複数あることも考えられる。
先に届いた重力波により時空が歪められているとしたら、ガンマ線バーストを観測する望遠鏡や施設のある時空も歪められていることになる。観測時間の差である0.4秒も絶対的な数値ではなく相対的な数値だと考えられないか。
この辺りに、全ての力を統一する理論(超大統一理論や万物の理論と呼ばれている)を紐解くヒントがありそうな気がする。



(参考)
参考までに、全て(4つ)の力について書いた過去の記事はこちら↓

sohsan.hatenablog.com

 

ついに!アインシュタイン最後の宿題(重力波)が観測される!

重力波を初観測!
重力波を初観測したとのニュースが飛び込んできた。

記事はこちら(たくさんある中から分かりやすいもの)↓

jp.techcrunch.com



LIGOのニュースリリース

www.ligo.caltech.edu



元になる論文はこちら↓

journals.aps.org



サマリーはこちら↓

physics.aps.org



過去に重力波の観測について書いたブログはこちら↓

sohsan.hatenablog.com



重力波については、アインシュタインによって予測はされていたが、観測されたのは初になる。ここでちょっと注意しないといけないのは、重力波による空間の歪み(ずれ)を観測したということであって、重力波を直接観測したわけではないということだ。重力波重力子(グラビトン)というもので伝播されると考えられている。この重力子そのものはまだ観測されたことはない。そもそもどうやったら観測できるのかという理論もまだない(と思われる)。
とは云っても、今回の時空のひずみは、地球と太陽間の距離1.5億kmに対して、水素原子1個分の変化であり、これを観測できたことは驚くべきことだ。これには幸運もあったらしい。

■観測したのはアメリカのLIGOプロジェクト
今回、観測したのはアメリカのLIGO(ライゴ)である。重力波観測用の施設が2ヶ所(ワシントン州ルイジアナ州)にあり、2ヶ所でデータを取って検証することで、その精度を上げている。検出精度を上げるための改良工事を2015年9月まで実施しており、新しくなった施設で測定を開始したわずか2日後の9月14日には今回のデータを取得していたということだ。その改良後の施設(Advanced LIGOという)によって精度も観測範囲も各段によくなっており、それが今回の重力波観測に至ったわけだ。


重力波観測は何に役立つのか
さて、ところで、重力波を観測できるとどういうメリットがあるのだろうか。
まず、いわゆる「望遠鏡」は「光」を観測している。ビッグバンが起こった時、膨大な素粒子やエネルギーや光の放出があったと考えられている。ただ、ビッグバン直後の宇宙は非常に超高温・超過密で、物質の元になる素粒子と光がスープのような状態だったようだ。そのため、光は素粒子に邪魔をされ、真っ直ぐ進むことが出来なかった。光が真っ直ぐ進むことができるようになたのは、ビッグバンから38万年後であるとされている。これを「宇宙の晴れ上がり」という。スープ状になっていた電子や原子核が互いに結びつき原子をつくるようになり、光も邪魔されずに進めるようになった。
つまり、どんなに過去の光を観測したとしても、ビックバンから38万年以降しか観測できないのである。
ところが、重力波は質量を持たないと考えられており、光とは異なる。重力波素粒子に邪魔されずに進むことができる。ということは、光の観測では不可能なビッグバン直後からの出来事を観測できる可能性がある訳である。
そういった理由で今回の重力波観測は、ノーベル賞クラスの出来事だと云われているわけだ。

■とにもかくにもおめでたいことには変わりない
アインシュタイン重力波の予測から、ちょうど100年目に重力波が観測されたということも運命的なものを感じる。これから、重力波の観測データも世界各国の施設で続々と取られることになると思う。宇宙誕生の初期の頃の重力波を観測することによってますます色々なことが判ってくるかと思うとわくわくしてきますね。日本のKAGRA(かぐら)にも期待したい。