生命とは熱水である!?(前編)
■かの有名な熱力学の法則
エントロピー増大の法則(別名、熱力学第2法則)というのがある。
よく引き合いに出される例は、次のようなものだ。
熱い水と冷たい水を1つのビーカーの中で混ぜてみる。すると、熱い方から冷たい方へ熱が移動し、最終的に均一なぬるい水になる。始めの状態をエントロピーが低い状態である、といい、後の状態をエントロピーが高い状態である、という。始めの状態は熱がある特定の状態に偏っているともいえ、秩序立っている。後の状態は、熱が万遍なく拡散しており、より乱雑な状態である。エントロピーが高いということは、乱雑度が高い、ともいえる。
■乱雑度が高くなる
さらにここから、熱以外の事象へ解釈を拡大して興味深い自然法則が導かれている。よく例えられるのが、コーヒーとミルクである。コーヒーにはフレッシュだという人も多いと思う。ちなみに筆者はブラックだ。コーヒーにミルクを入れると、始めは分離しているが、時間と共に混じり合い、最終的には完全に混ざって分からなくなる。
また、この変化は非可逆的なことで知られている。非可逆というのは、変化が一方通行であることを示す。一度混じり合った状態のコーヒーとミルクをそのまま放っておいたとして、勝手に元の分離した状態に戻ることはない。
「エントロピー増大」はある意味、「乱雑度の増大」ともいわれている。始めはコーヒーとミルクがきちっと分かれてて規律的な状態にあるが、時間と共に、徐々に乱雑度が増していって、混じり合った状態になっていく。最終的には乱雑度が最大となって完全に混じり合う。
エントロピー増大の法則は、宇宙を形作る一つの法則であるといっても良いと思う。
(つづく)