星の「終わり」=「始まり」
■超新星SN1987A
1987年に観測された超新星(SuperNova)がある。1987年の最初に発見されたので1987の後ろにAが付いている。
大マゼラン雲の中にあり、地球から16万光年ほどの距離である。お隣のアンドロメダ銀河まで240万光年離れているのと比較するとかなり近い。この距離での超新星はかなり珍しいらしい。銀河では100~200年に一度、超新星が現れると言われており、しかも肉眼で見える明るさの超新星は約400年ぶりとということで、当時はかなり騒がれたらしい(筆者は覚えていないが)。
この時の爆発によって発生したニュートリノが日本のカミオカンデで観測され、後のノーベル賞受賞(2002年)につながったのも記憶に新しい。
■想像を絶する形状
特筆すべきは、その形状である。1990年ハッブル宇宙望遠鏡がその姿を捉えた時、世界に衝撃が走った(らしい)。なんと、3重リングになっていたのである。その真ん中のリングは真珠のネックレスのように数珠状に光り輝いていた。超巨大なネックレスである。
Wikipediaより引用
構造が分かりやすい画像はこちら
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2010080902
■エネルギーの大きさ
太陽の何千倍、何万倍もある巨大な赤色巨星の大爆発である。「超新星」という命名から新しい星が生まれた、とイメージしがちであるが、実際のところは星の最後の大爆発である。
また、放出されるエネルギーは、太陽が45億年かけて放出してきた全エネルギーのなんと1000倍の量を僅か10秒で放出したとのこと。
■タイムスケールの短さ
宇宙で起こる出来事は、人間からみるとタイムスケールが長すぎてその変化を掴む事ができないが、超新星爆発だけは異なる。明るさが日を追うごとに刻々と変化し、その違いを人間のタイムスケールでも感じ取れる。いかに超新星爆発が宇宙の中では特別な出来事であるかが分かる。宇宙の始まりのミニデモンストレーションであるかのように感じる。
■終わりは始まり
さらに、最新の研究では、超新星爆発で惑星の素になる物質(「冷たいガス」と呼ばれている)が大量につくられていることが判明している。つまるところ「超新星」という命名はあながち間違っていなかった訳である。星がその一生を終えるとき、自身は次の子ども達が生まれるためのエネルギーの素になるわけである。
(おわり)