ダークな話(前編)
■まずはダークマター
ダークマター(暗黒物資)とダークエネルギー(暗黒エネルギー)という似て非なるものがある。
最近になってやっと違いが少し理解できたので、書いてみる。
そもそもこの2つは発見された時期も経緯も異なる。
先に提唱されたのは、「ダークマター」のほうである。1934年、スイス生まれでアメリカにいた天文学者フリッツ・ツビッキーによって提唱された。銀河の内と外で恒星の移動速度がほとんど変わらないということが観測されたことから導き出された。物理法則に従うのであれば、内側(銀河の中心に近い)ほど、周回速度が速くなるはずである。しかしながら、実際の観測結果は違った。これを物理法則を変えずに説明しようとすると、目に見える物質以外になんらかの物質があると仮定しないと、説明がつかない。それが「ダークマター」である。
■重力レンズ効果
さらに、重力レンズ効果というものがある。これは、遠くの明るい光(クエーサーや銀河など)が、なぜか複数観測されたことから導きだされた。光は実は真っ直ぐに進まない。大きな質量の物体があると、光でも曲げられる。複数観測された光は、手前にある大きな物質の重力によって曲げられ、複数の方向から地球に届いていた訳である。これを重力レンズ効果と呼んだ。
重力レンズについての分かりやすい解説はこちら↓
http://www.astroarts.co.jp/news/2004/07/16four-leaf_clover/index-j.shtml
http://space.geocities.jp/drjfw841/public_html/9_tide/9Files/9_G-lens.htm
http://www.hyoka.koho.titech.ac.jp/eprd/recently/research/research.php?id=279
この時、重力レンズ効果を生み出している手前の物質の総重量を推定したところ、目に見える物質の総重量のみでは不足していた。目に見える物質の10倍の質量が存在しないと、観測結果と合致しないことが判明した。
このことにより、それまで想定でしかなかったダークマターが存在することが実証された。
(つづく)
ブログ村科学ランキングへ