宇宙や生命について考えたことを書いてみる

宇宙や生命についてのエッセイです。事実に基づき書いているつもりですが、間違い、調査不足だったりすることもあるかと思います。また、筆者の妄想モードの場合は、予めそう書きますのでご了承ください。ゆるい感じで楽しんで頂ければ何よりです。

ついに!アインシュタイン最後の宿題(重力波)が観測される!

重力波を初観測!
重力波を初観測したとのニュースが飛び込んできた。

記事はこちら(たくさんある中から分かりやすいもの)↓

jp.techcrunch.com



LIGOのニュースリリース

www.ligo.caltech.edu



元になる論文はこちら↓

journals.aps.org



サマリーはこちら↓

physics.aps.org



過去に重力波の観測について書いたブログはこちら↓

sohsan.hatenablog.com



重力波については、アインシュタインによって予測はされていたが、観測されたのは初になる。ここでちょっと注意しないといけないのは、重力波による空間の歪み(ずれ)を観測したということであって、重力波を直接観測したわけではないということだ。重力波重力子(グラビトン)というもので伝播されると考えられている。この重力子そのものはまだ観測されたことはない。そもそもどうやったら観測できるのかという理論もまだない(と思われる)。
とは云っても、今回の時空のひずみは、地球と太陽間の距離1.5億kmに対して、水素原子1個分の変化であり、これを観測できたことは驚くべきことだ。これには幸運もあったらしい。

■観測したのはアメリカのLIGOプロジェクト
今回、観測したのはアメリカのLIGO(ライゴ)である。重力波観測用の施設が2ヶ所(ワシントン州ルイジアナ州)にあり、2ヶ所でデータを取って検証することで、その精度を上げている。検出精度を上げるための改良工事を2015年9月まで実施しており、新しくなった施設で測定を開始したわずか2日後の9月14日には今回のデータを取得していたということだ。その改良後の施設(Advanced LIGOという)によって精度も観測範囲も各段によくなっており、それが今回の重力波観測に至ったわけだ。


重力波観測は何に役立つのか
さて、ところで、重力波を観測できるとどういうメリットがあるのだろうか。
まず、いわゆる「望遠鏡」は「光」を観測している。ビッグバンが起こった時、膨大な素粒子やエネルギーや光の放出があったと考えられている。ただ、ビッグバン直後の宇宙は非常に超高温・超過密で、物質の元になる素粒子と光がスープのような状態だったようだ。そのため、光は素粒子に邪魔をされ、真っ直ぐ進むことが出来なかった。光が真っ直ぐ進むことができるようになたのは、ビッグバンから38万年後であるとされている。これを「宇宙の晴れ上がり」という。スープ状になっていた電子や原子核が互いに結びつき原子をつくるようになり、光も邪魔されずに進めるようになった。
つまり、どんなに過去の光を観測したとしても、ビックバンから38万年以降しか観測できないのである。
ところが、重力波は質量を持たないと考えられており、光とは異なる。重力波素粒子に邪魔されずに進むことができる。ということは、光の観測では不可能なビッグバン直後からの出来事を観測できる可能性がある訳である。
そういった理由で今回の重力波観測は、ノーベル賞クラスの出来事だと云われているわけだ。

■とにもかくにもおめでたいことには変わりない
アインシュタイン重力波の予測から、ちょうど100年目に重力波が観測されたということも運命的なものを感じる。これから、重力波の観測データも世界各国の施設で続々と取られることになると思う。宇宙誕生の初期の頃の重力波を観測することによってますます色々なことが判ってくるかと思うとわくわくしてきますね。日本のKAGRA(かぐら)にも期待したい。