冥王星のはるか彼方に惑星Xがあるって本当ですか?(後編)
前回のブログはこちら
前回のブログでは、6つの天体の軌道から第9番目の惑星の存在を推測する研究発表を取り上げた。
この「観測された事実から何か新しい事実について推測をする」ということは、科学的なアプローチの基本である。
今回の発表内容をさらに推し進めて考えてみる。
例えば、こんなことは考えられないだろうか。
例えば、マクロ側に拡大して考えると、
・複数の銀河の動きから新たな宇宙膨張のエネルギーの出所を推測する
ことはできないだろうか。
例えば、130億光年先に巨大天体「ヒミコ」が観測されている。ヒミコは3つの銀河が集まっている。なぜここに銀河が集まっているのか。ここから先が「推測」になるが、このヒミコがあるエリアは、宇宙膨張のエネルギーが湧き出している場所なのではないだろうか。宇宙を膨張をさせる「斥力」は空間が大きくなればなるほどその空間に溜まるエネルギーが比例して大きくなると考えられている。そうであれば、銀河が集まっているエリアは斥力が相対して小さいとは考えられないだろうか。
巨大天体ヒミコについてはこちら。
単なる思い付きではあるが、そんなアプローチでこれから出てくるであろう宇宙関連ニュースをみていきたいと思っています。
冥王星のはるか彼方に惑星Xがあるって本当ですか?(前編)
ついに冥王星の外側に太陽系9番目の惑星がある可能性が出てきた。
こちらの記事が分かりやすい。
gigazine.net
(Gigazine)
過去には冥王星が9番目の惑星だったこともあり、さらに外側にある惑星は順番からいくと10番目になるため惑星Xと名付けられ(ニビル(非公式)と呼ぶ場合もあり)、その探索を進める人達がいた。
今回、米カリフォルニア工科大学のマイク・ブラウン氏、ハティジン氏の研究グループがその可能性を発表した。
(AFP BBNews)
(カリフォルニア工科大学)
元の発表論文はこちら
EVIDENCE FOR A DISTANT GIANT PLANET IN THE SOLAR SYSTEM - IOPscience
(IOPscience)
これらの記事によると、惑星Xの大きさ・質量は地球の10倍。太陽と海王星間の距離約45億kmの約20倍離れており、太陽の周りを1万~2万かけて長楕円軌道で公転していると推定されるとのこと。
ここのポイントは「推定」されるというところで、実際に「観測」されたわけではない。
ではなぜ、「推定」できるのか。
冥王星より遠いところに既に6つの、ある程度大きな天体が見つかっている。この中には、「セドナ」な「ハイデン(非公式)」も含まれる。これら6つの天体の軌道を詳しく分析し、現在のような軌道になるためのシミュレーションを繰り返した結果、単独で存在する巨大な大きさの惑星Xが必要との結論に至ったとのことである。
つまり、惑星Xはまだ観測されていない。予想された軌道に沿ってこれから観測が始まる。日本がハワイに建設したすばる望遠鏡なら見つける可能性もあるとのこと。ぜひ観測してほしいものです。
はやぶさ2やあかつきのおめでたい話
2015年12月3日、はやぶさ2の地球スイングバイが無事完了したとのこと。おめでとうございます。これでいよいよ、はやぶさ2は目的地である小惑星「Ryugu」(竜宮)に向かう。次に地球に戻ってくるのは、サンプルリターンのミッション成功時となる。ちなみに、この竜宮というネーミング、一般公募で決まったようで、よいネーミングだと思います。前回のはやぶさの目的地は「イトカワ」(日本の宇宙開発・ロケット開発の父・糸川さん)でしたから、その流れで人名になるのかと思いきや全然関係なかったですね(笑)。
写真.はやぶさ2が見た地球(引用元:JAXA)
もうひとつ、良いニュースがありました。
2015年12月9日、あかつきの金星軌道投入に成功したとのこと。こちらは、5年越しの悲願達成ということだ。当初予定では5年前の2010年に金星軌道投入を達成していたはずで、想定外のトラブルにより失敗したとのこと。しかしながら、その後も根気よく投入ルートを検討し続けた結果、今回の軌道投入に成功したとのこと。関係者の不屈の精神に頭が下がります。あきらめずに考え続けることの大切さを改めて感じた気がします。
図.あかつきの金星軌道投入
写真.あかつきが金星軌道投入後に撮影した金星(引用元:JAXA)
どちらのニュースも宇宙解明に大きく貢献すると思われ、今後の衛星による調査結果により、宇宙とは何か?生命とは何か?について、さらに踏み込んだ調査結果が出ることに期待せずにはいられないですね。
太陽系の惑星等の写真が続々と!(その3)
前々回は冥王星の写真を紹介した。前回は火星の写真を紹介したsohsan.hatenablog.com
太陽系惑星等の写真シリーズは、今回で一旦締めたいと思う。
土星探査機カッシーニが土星の衛星であるエンケラドゥス(エンセラダス)に接近した。高度49kmまで近づいた。
写真.エンケラドゥス(引用元:NASA/JPL-CALTECH/SSI)
エンケラドゥスには100近い間欠泉があり、水を噴き出しているとのことで、その水の採取にも成功したとのことだ。分析はこれからだ。
図.エンケラドゥスの内部構造(引用元:NATIONAL GEOGRAPHIC、元図NASA)
噴き出した水の中には微粒子も含まれ、それが土星の輪の一部にもなっているとのこと。
ところで、現在の土星の衛星の数(確定数)は53だ。発見されたが確定していないものも含めると65にもなる。ちなみに、木星の衛星の数(確定数)も53で、同じである。こちらも発見されたが未確定のものも含めると67もある。(2015年現在)
詳しくはこちら。
惑星の衛星一覧(国立天文台)
衛星の数がこんなにも多かったことにまずは驚いた。まだまだ探査していない衛星も数多くあるわけで、今後想像もしていなかったような発見もあるかもしれないと思うと、太陽系もまだまだ未知の部分がほとんどで、今後がますます楽しみだ。地球以外に生命の痕跡が見つかるのももはや時間の問題になってきた気がします。
(終わり)
(追記1)
土星の衛星ミマスの写真はこちら。
写真.衛星ミマス(NASA)
ん?これってあの有名な映画に出てくる敵の本拠地?
画像.衛星ミマスの温度分布(NASA)
こちらはあのゲームのキャラがエサ食べてる?
(追記2)
ケレスの続報もありました。
最新のケレスの画像はこちら。探査機ドーンがケレスから2015年9月9日に高度1470kmのところから撮影したものだ。ここのクレーターにはOccatorという名前が付けられた。
(写真)ケレスの光る点(撮影:Dawn, NASA/JPL)
太陽系の惑星等の写真が続々と!(その2)
前回は冥王星の写真を紹介した。次はこれにしてみます。
現在、火星探査車キュリオシティが、火星表面を走り回り、様々なデータを収集してくれている。
キュリオシティは2012年8月6日に火星表面に降ろされたローバーである。
(写真)マーズ・サイエンス・ラボラトリー(愛称:キュリオシティ)(引用元:NASA/JPL)
(写真)火星表面(引用元:NASA/JPL、編集後のものはTOCANA)
火星に関しては、興味深い事実が、NASAから公表されている。
(リンク先:月探査情報ステーションブログ)
キュリオシティがメタン濃度の急増を発見、生命の兆候か? | 月探査情報ステーションブログ
(リンク先:NASAのプレスリリース)
NASA Rover Finds Active, Ancient Organic Chemistry on Mars | NASA
火星に有機物があったということだ。
また、つい先日、火星に液体の水が存在する証拠があることががNASAの緊急記者会見で公表された。
(リンク先:Engadget日本版)
(リンク先:NASAのプレスリリース)
NASA Confirms Evidence That Liquid Water Flows on Today’s Mars | NASA
どちらもすごい内容である。前者の有機物検出について、さらっと書いたが、実は驚くべきことである。約1年前のリリースだが、その時は自分自身それほど気にしていなかった。今まで地球以外に生命の源となる有機物は無いと思っていただけに、それがお隣の惑星にあったとは驚きだ。そして、今回の液体の水が少なからず存在するという事実(の証拠)。ここからたどり着く結論は何か?
#以下、筆者の妄想になります、ご注意願います。
この2つの事実、すなわち「火星の岩石から有機物検出」と「火星には液体の水が存在する」、から導き出される次なる発見は何か?
「火星における生命(もしくはその化石)の発見」ではないだろうか。さらに、その公表時期は1年以内(2016年末まで)と推測する。
NASAによる「火星の岩石から有機物検出」の公表は2014年12月16日。「火星には液体の水が存在する」の公表は2015年9月29日。この間隔でいくならば、次は約1年後と推測した。さて、この推測は当たるのだろうか。遅くとも1年後に結果は分かる。そわそわしながら待ってみたい。
(リンク先:NASAのキュリオシティのサイト)
Mars Science Laboratory - Curiosity | NASA
(リンク先:キュリオシティ・火星探査車の記録)
www.imart.co.jp
(続きは未定)
太陽系の惑星等の写真が続々と!(その1)
太陽系へ放たれた人工衛星達から続々と鮮明な写真が届いている。
まずはニューホライズンズ。
ニューホライズンがどこへ向かっているかはこの記事参照。
はやぶさ2(その2) - 宇宙や生命について考えたことを書いてみる
ニューホライズンズは、冥王星やその衛星の鮮明な写真を送ってきてくれている。
(写真)冥王星(引用元:NASA)
下の写真ではガスが青く写っている。幻想的ですね。これは、窒素やメタンのガスだと推定されている。少し冥王星のことに触れてみる。冥王星の直径は月の3分の2ほど。2006年に分類上、惑星から準惑星に格下げされてしまった。その年にニューホライズンズも打ち上げられており、打ち上げ後に冥王星が準惑星になったのも何だか皮肉なものだ。
惑星に分類されるには、次の3つの条件を満たしていることが必要だ。
(a)太陽の周りを回る
(b)十分大きな質量を持っており、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有する
(c)その軌道から他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになっている
冥王星はこの内、3つ目の条件を満たしていない。
冥王星はエッジワース・カイパーベルトという小天体域に位置している。このエリアは、彗星の生まれ故郷だ。
(図)エッジワース・カイパーベルト(引用元:宇宙のとびら-net、学研プラス)
(写真)衛星カロン(引用元:NASA)
カロンは冥王星の衛星5つのうち、最も大きなものだ。地球と月の関係と比較すると、冥王星とカロンの関係はかなり異なる。カロンの直径は冥王星の半分程(月の3分の1ほど)だ。冥王星の地表から見るとカロンはかなり大きく見えるだろう。月の大きさにみなれた地球人からすると、恐怖を感じるほどの大きさかもしれない。
(図)地球と冥王星、カロンの比較(引用元:Engadget日本版)
さて、ニューホライズンズの今後についてだが、冥王星の探査が完了した後は、エッジワース・カイパーベルト内の太陽系外縁天体を観測する予定になている。第一候補として選定されたのは2014 MU69。2019年1月1日に到着する予定である。さらにその後のことだが、カイパーベルトでの最終探査が終わる2020年頃に、ニューホライズンズへ地球外知的生命体へ宛てたデジタルメッセージを送信しようというプロジェクト「ONE EARTH」が発足している。
(続きは未定)
油井宇宙飛行士のtwitterがいろいろスゴい!!
国際宇宙ステーションに滞在して約1ヶ月が過ぎた油井(ゆい)宇宙飛行士。その間には日本の補給機「こうのとり」の結合や最近ではロシアのクルー合流とか様々なことがありました。今日は油井さんにスポットを当ててみたいと思います。
まずは、油井さんも写っているNASA公認の国際宇宙ステーション(ISS)第45次長期滞在クルーのオフィシャルポスターはこれ。
ポスター写真(引用元:NASA)
NASAもなかなかお茶目?ですよね。こういった遊び心とかONとOFFの切り替えといったことが実は大切なのかもしれません。
さて、ISSに滞在中の油井さんですが、防衛大学卒でその後航空自衛隊へ入隊し、F-15のパイロットだったそう。小学校の卒業文集にも「将来火星に行く」と書いていたとか。映画「ライトスタッフ」を観て、自分も一念発起して、宇宙飛行士になる夢を叶えようと思ったそうです。
油井さんはtwitterもやっていて、日々つぶやきをアップしていますので、いくつか面白いものを見ていきたいと思います。
2015年8月24日
HTV capture was successful! Thank you for your support and hard work! 皆さん。こうのとり、無事に届きましたよ!人生の中で最も日の丸を誇らしく思った日です! pic.twitter.com/K28GDDEO3k
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 8月 24
・「こうのとり」とのドッキングに成功!補給物質も無事に届いて一安心でした。
2015年8月22日
この写真を撮り、皆さんに台風対策をとって頂きたくて、夜更かししました。台風の目が恐ろしい悪魔のように見えました。2枚目には関東が一緒に写っています。どうか、皆様ご無事で。。。 pic.twitter.com/7RkjvkCcTu
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 8月 22
・日本にも大きなダメージをもたらした台風15号。油井さんのやさしさが伝わってくるコメントです。
2015年8月16日
メッセージを読んでいたら、いつも応援していただいている方から「もう少し北だったら。。。」という書き込みがあったので、そのとき撮影したもう少し北を(笑)。もっと北でしたか?あまり良く撮れていなくて申し訳ありません。 pic.twitter.com/RMdD5q2NHT
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 8月 16
・この写真ですが、こんなに高精細に撮れるものなんですね。驚きました。800mm望遠レンズで撮影した八戸周辺です。twitterのメッセージを読んでリアルタイムに反応してくれるやさしさにも驚きです。地上にいる不特定多数の人が宇宙にいる宇宙飛行士とほぼリアルタイムにやりとりできるなんて、昔は考えられなかったですよね。
2015年8月30日
And taste good)いただきま~す。「うむむっ!旨い!とろみを加えて表面張力を高め飛び散りにくくしたスープに、親水性によって麺と具が一体になり、完全調和している!科学と料理のハーモニーっ。」この分野を料理科学と名づけよう! pic.twitter.com/qVvDIt9Tw8
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 8月 30
・食べ物シリーズ。宇宙ラーメン!
2015年9月3日
宇宙で飲めない飲み物は、お酒のほかにもありますよ。それは、炭酸飲料。二酸化炭素が出てしまいますからね。地球では、植物が光合成でCO2を使ってくれますが、宇宙では人工的に取り除くしかありません。取り除いたCO2は水素と反応させて水へ。水は電気分解で酸素と水素へといった循環です。
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 9月 3
・食べ物シリーズ(飲料)。宇宙ではお酒を飲めないそうです。残念。
2015年8月30日
この広大な宇宙に人類以外の知的生命体の存在を尋ねられれば、私は自信をもって「いる!」と答えます。でも、その生命体同士が出会えるかは別問題。何といっても宇宙の空間は巨大で、時間軸も長いですからね。出逢う為のポイントは、如何に互いの活動の場を広げ、長く存在することが出来るか?です。
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 8月 30
・知的生命体に関する油井さんの見解。説得力があります。
2015年8月27日
最近感じるのは、人間の身体や脳は、宇宙で生活して初めて最大限の能力を発揮するようになるのかな?という事。より多くの方々が宇宙で生活するようになった時、地球上の常識にとらわれない人達の新たなアイディアで、人類は更に躍進を遂げると信じるようになりました。そんな時代の為にも頑張ります!
— 油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) 2015, 8月 27
・油井さんが進化した?ついにニュータイプになった記念日
まだまだ他にも面白いものもありますが、とりあえずこれくらいにしておきます。
油井さんのtwitterはこちら
油井 亀美也 Kimiya.Yui(@Astro_Kimiya)さん | Twitter